はじめに — テンプレートが時間を生む
CS実務で繰り返し書く文書は、毎回ゼロから書く必要はありません。型を1回作って、内容だけ差し替える運用に変えるだけで、業務時間が大幅に削減できます。
本記事では、私が日常業務で実際に使っている 7つのテンプレート を、コピペで使える形で公開します。
すべてMarkdownで記述しているため、Notion・Google ドキュメント・Confluence などに そのまま貼り付け て使えます。
各テンプレートには、AI(ChatGPT / Claude / Gemini)に渡して自社情報で埋めるプロンプト例もセットで掲載しています。AIプロンプトの応用は CS業務で本当に使えるAIプロンプト10選 で詳しく解説しています。
テンプレート1: 個人KPI管理シート
CS担当者が、自分自身のKPI推移を月次で記録するためのフォーマット。
# 個人KPI管理シート — [氏名] / [対象期間]
## 担当顧客サマリー
| 項目 | 前月 | 当月 | 前月比 |
|---|---|---|---|
| 担当顧客数 | | | |
| 担当 MRR | | | |
| ヘルススコア平均 | | | |
## 主要KPI(担当顧客ベース)
| 指標 | 前月 | 当月 | 前月比 | 部署平均 | 目標 |
|---|---|---|---|---|---|
| Logo Churn率 | | | | | |
| Revenue Churn率 | | | | | |
| NRR | | | | | |
| エクスパンションMRR | | | | | |
| アップセル件数 | | | | | |
| 定例MTG実施率 | | | | | |
| CSAT平均 | | | | | |
## 今月の主要アクション
1. [当月行った主要アクション]
2. [当月行った主要アクション]
3. [当月行った主要アクション]
## 来月のフォーカス
1. [来月の重点アクション]
2. [来月の重点アクション]
3. [来月の重点アクション]
## リスク案件
| 顧客名 | リスク種別 | リスク度 | 対応状況 | 期限 |
|---|---|---|---|---|
| [顧客A] | 解約予兆 / 不満 / 縮小 | 高/中/低 | | |
## 成功・学び
- [当月の成功事例]
- [失敗から得た学び]
- [試したい新しいアプローチ]
運用ポイント
- 月末に15-30分で記入
- 1on1の前日に必ず記入完了
- 半期評価の際、6ヶ月分まとめて振り返り
AIに使わせるプロンプト
以下のデータから、CS個人KPI管理シートを上記テンプレートに従って作成してください。
# 当月の実績データ
- 担当顧客数: ◯社
- 担当MRR: ¥◯
- (省略)
# 今月の主要アクション
- [箇条書きで]
# 来月の方針
- [箇条書きで]
埋められない項目は「-」で記載。
テンプレート2: 1on1アジェンダ(マネージャー → メンバー)
CSマネージャーが、メンバーとの1on1で使うアジェンダ。
# 1on1 — [メンバー名] / [日付]
## 1. 前回からの宿題確認(3分)
- [前回設定したアクション]
- 進捗:
## 2. 今週・先週の業務状況(7分)
- 良かったこと:
- 苦戦したこと:
- 学びがあったこと:
## 3. 担当案件のレビュー(10分)
### リスク案件
- 案件:
- 現状:
- マネージャーへの相談ポイント:
### 成功・拡大案件
- 案件:
- 何が効いたか:
## 4. キャリアの話(5分)
- 直近で身に付けたいスキル:
- 中期で行きたい方向:
- マネージャーに期待するサポート:
## 5. マネージャーへのフィードバック(3分)
- マネジメントで助かっていること:
- 改善してほしいこと:
## 6. 次回までのアクション(2分)
- メンバー側:
- マネージャー側:
- 次回日程:
## メモ(マネージャー記入欄)
[1on1中・後のメモ]
運用ポイント
- 月1回30分が標準
- 「4. キャリアの話」「5. フィードバック」を毎回入れることが鉄則(省略すると関係性が薄くなる)
- マネージャーが事前準備を怠ると、メンバーから見て「適当な1on1」になる
AIに使わせるプロンプト
以下の過去3ヶ月の発言・報告ログから、次回の1on1で踏み込むべきテーマと、
それぞれの最初の質問を3つ提案してください。
# メンバー情報
- 役職:
- 担当顧客:
- 過去3ヶ月の主な業務:
# 過去3ヶ月のログ
- [Slack/議事録の該当部分]
注意: 経歴やログから読み取れないことは推測せず、「不明」と明記。
詳細は CS業務で本当に使えるAIプロンプト10選 - 2. 1on1の準備 を参照。
テンプレート3: 業務日報
個人の振り返り、1on1の準備材料として使える日報フォーマット。
# 業務日報 — [日付]
## 今日の主要業務(時系列)
- 09:00-10:00: [何をしたか]
- 10:00-11:00:
- (以下、時系列で)
## 今日の成果
- 進捗があったこと:
- 完了したこと:
## 今日の課題・困りごと
- 困った場面:
- どう対処したか:
- 振り返って、もっと良いアプローチは何だったか:
## 顧客からの主要発言
- [顧客名]: [発言の要約]
## 明日の予定
- [優先タスク3つ]
## 自分への問い
- 今日の自分は、本来の役割を果たせたか?
- 明日、今日の自分より一歩前に出るには?
運用ポイント
- 18:00-18:15 の15分で書く習慣を作る
- チームでの共有は任意(個人記録として優先)
- 月末に30日分を振り返り、傾向を把握
テンプレート4: 引継ぎフォーマット
担当変更、退職、休職時に使う引継ぎ文書。
# 引継ぎ書 — [前任者名] → [後任者名]
## 基本情報
- 引継ぎ対象顧客数: ◯社
- 引継ぎ期間: [日付] 〜 [日付]
- 完了確認日: [日付]
## 顧客リスト
| 顧客名 | 業種 | ARR | 契約状況 | リスク度 | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|---|
| | | | | | |
## 顧客ごとの詳細(リスク度「高」のみ)
### [顧客A]
- 担当者情報:
- 主要連絡先(役職・名前・メール)
- 副担当(役職・名前)
- 経営層との関係性:
- 契約情報:
- 契約金額/プラン:
- 契約開始日:
- 更新時期:
- 履歴サマリ(過去6ヶ月):
- 主要な意思決定・出来事:
- 解決したクレーム・問題:
- 進行中の案件:
- 現状の課題感:
- 今後3ヶ月のアクションプラン:
- 後任者へのアドバイス:
(リスク度「中」「低」は簡略版で同形式)
## 進行中のプロジェクト
| プロジェクト名 | 顧客 | 現状 | 次のアクション | 担当者(自社) |
|---|---|---|---|---|
## 社内ナレッジ
- 関連 Notion/Confluence ページ:
- 関連 Slack チャンネル:
- 主要連携部署(営業・PdM・サポート):
## 引継ぎ完了確認
- [ ] 全顧客とのキックオフミーティング実施
- [ ] 進行中プロジェクトの状況共有完了
- [ ] CRMの担当者変更完了
- [ ] 関連 Slack チャンネルへの後任者招待完了
運用ポイント
- 引継ぎ期間は最低2週間、理想は4週間
- リスク度「高」の顧客は、前任者・後任者が一緒に1回はミーティングする
- 引継ぎ後も1ヶ月は前任者がフォロー可能な状態を維持
テンプレート5: SaaS選定RFP骨格
ベンダーに送るRFP(提案依頼書)のひな型。
# 提案依頼書(RFP) — [プロジェクト名]
## 1. 当社の状況
[業種、CS組織規模、現在のスタック、課題感を3段落で]
## 2. プロジェクトの目的
[解決を検討する3つの課題]
## 3. ゴール
- 目標1: [KPIと達成基準]
- 目標2:
- 目標3:
## 4. 提案を依頼する範囲
### 機能要件(MUST)
- [必須機能を箇条書き]
### 機能要件(NICE)
- [あったら良い機能]
### 非機能要件
- セキュリティ:
- データ所在地:
- 既存システム連携:
- 日本語対応:
- 可用性(SLA):
- データエクスポート:
## 5. 評価基準(配点を明示)
- 機能適合性: 40%
- 導入・運用工数: 20%
- 価格: 15%
- サポート体制: 15%
- 拡張性・将来性: 10%
## 6. 提案フォーマット
- 章立て: 当社課題への理解 / 解決アプローチ / 機能対応表 / 導入スケジュール / 料金体系 / 導入支援 / 事例 / 質問への回答
- ページ数: 15-30ページ
- 提出形式: PDF
## 7. スケジュール
| イベント | 日付 |
|---|---|
| RFP送付 | |
| 質問受付締切 | |
| 質問回答返送 | |
| 提案提出締切 | |
| 一次評価結果通知 | |
| 最終プレゼン | |
| 選定完了 | |
## 8. 質問窓口
- 担当者名:
- メール:
- 質問は本RFP送付後 1週間以内に集約してまとめて回答します。
詳細は CS向けSaaS選定の完全フレームワーク で運用方法を解説しています。
テンプレート6: 顧客向け定例議事録
毎月の定例ミーティングで使う議事録フォーマット。
# 定例ミーティング議事録 — [顧客名] / [日付]
## 参加者
- お客様側: [氏名・役職]
- 当社側: [氏名・役職]
## 1. 前回からの進捗
| 前回の合意事項 | 担当 | 期限 | 状況 |
|---|---|---|---|
| | | | 完了/進行中/未着手 |
## 2. 当月の利用状況サマリ
- アクティブユーザー数: 前月◯名 → 当月◯名
- 主要機能の利用率:
- ヘルススコア: 前月◯ → 当月◯
## 3. お客様の業務状況ヒアリング
- 直近の業務での変化:
- 現在の課題感:
- 来月以降に予定されている社内イベント:
## 4. 当社からのご提案
### 提案1: [タイトル]
- 背景:
- 提案内容:
- 期待効果:
- 必要なアクション:
(複数提案がある場合は繰り返し)
## 5. お客様からのご要望・ご質問
- ご要望:
- ご質問:
## 6. 次回までのアクション
| アクション | 担当 | 期限 |
|---|---|---|
| | | |
## 7. 次回日程
- 日時:
- アジェンダ案:
運用ポイント
- ミーティング中にライブで埋める(後で書こうとすると忘れる)
- お客様に当日中に共有(信頼度が上がる)
- AI で文字起こしから議事録化する手法は CS業務で本当に使えるAIプロンプト10選 - 6. デモ振り返り議事録 を参照
テンプレート7: 半期評価コメント
部下の半期・通期評価で使う評価コメントのひな型。
# 評価コメント — [対象者名] / [評価期間]
## 評価サマリ(冒頭2行で結論)
[本期の総合評価を2文で]
## 強み(称賛したい事柄、具体的に1-2点)
### 強み1: [タイトル]
- 観察された事実:
- 期間中の具体例:
- 組織・チームへの影響:
### 強み2:(同形式)
## 今期の成長領域(具体的に1点)
### 成長したポイント: [タイトル]
- 期初の状態:
- 期末の状態:
- 成長を促した要因:
## 来期の期待事項(1点)
### 期待ポイント: [タイトル]
- 期待する具体的なアクション:
- 達成のためのサポート:
- 評価の目安:
## 全体メッセージ
[2-3段落で、本人に伝えたいことを書く]
## 数字での評価
| 評価軸 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 業績(KPI達成) | S/A/B/C/D | |
| 業務遂行能力 | | |
| チーム貢献 | | |
| 学習・成長 | | |
| 総合評価 | | |
運用ポイント
- AI で下書きを作り、最終的な「気持ち」「ニュアンス」は自分で書き直す
- 「上から目線にならない」「対等な言葉遣い」を意識
- 詳細プロンプトは CS業務で本当に使えるAIプロンプト10選 - 8. 評価コメント を参照
まとめ — テンプレートを活用する3つの原則
7つのテンプレートを公開しましたが、最後にテンプレート活用の原則を3つ。
1. テンプレートは「思考の枠組み」を提供する手段
テンプレートを使うのは、毎回フォーマットを考える時間を削減し、「内容を考えること」に集中する ためです。フォーマットを変えないこと自体が目的ではありません。
2. テンプレートを定期的に見直す
3ヶ月に1回、自分が使っているテンプレートを見直してください。
- 使わなくなった項目はないか
- 増やすべき項目はないか
- 構造に違和感はないか
テンプレートは進化させ続けるものです。
3. チームに展開する際は「強制」せず「推奨」する
組織として「全員このテンプレートを使え」と強制すると、形骸化します。「これを使うと早い」「品質が上がる」という体験を作って、自然に広げるほうが定着します。
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